女子プロゴルファー・稲見萌寧(いなみ もね)さんは、2020-2021年シーズンの賞金女王に輝き、東京オリンピックでも銀メダルを獲得するなど大活躍をしています。
コーチの奥嶋氏がキャディも務めてサポートしていることでも知られており、プロでは多難なスタートとなったのですが、コーチの指導のもと数少ないチャンスをものにして、国内でもっとも強い女子プロゴルファーの一人に名を連ねています。
ここでは、稲見萌寧さんのスイングやクラブセッティング、プロテストやコーチの指導で初優勝したことなどについて紹介します。
稲見萌寧のスイング
稲見萌寧さんはインスタにいくつかスイング動画をアップしていますが、ドライバーのスイングのスローモーション動画がありました。
ピタリと決まったトップからスムーズにクラブが降りてくるのがわかり、ダウンスイングで体の左サイドを後ろに引いて腰の回転を鋭くする豪快なスイングです。
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スイングを後ろから撮った動画を見るとよくわかるのですが、インパクト後に早く左肘をたたむのが稲見萌寧プロのスイングの大きな特徴です。
このような左肘の使い方をする選手はそういないので、後方からのスイングのシルエットを見ただけでそれとわかるほどです。
このスイングでは左肘が常に体に近いところにあるため球のコントロールがよくなるといわれていますが、その分析どおり2019年はパーオン率で歴代1位の78.2079%をマークしています。
同年のドライバー飛距離は237.13ヤードで97人中51位とそれほど飛ばしている方ではありませんし、フェアウェイキープ率も71.88%で19位とそれほど上位にいるわけではありませんが、どこからでもグリーンを狙える正確なショットが持ち味といえます。
稲見萌寧のクラブセッティング
2023年3月の「ダイキンオーキッドレディス」出場時のクラブセッティングを紹介します。
- ドライバー:キャロウェイ ローグST トリプルダイヤモンド S(9度)
NSプロ レジオ フォーミュラ M+(重さ50g台、硬さS) - フェアウェイウッド 3番:ステルス フェアウェイウッド(16.5度)
NSプロ レジオ フォーミュラ M+(重さ60g台、硬さSR) - フェアウェイウッド 5番:ステルス フェアウェイウッド(18度)
NSプロ レジオ フォーミュラ M+(重さ60g台、硬さSR) - ユーティリティ 3番:ステルス2 レスキュー(19度)
日本シャフト NSプロ プロトタイプ - ユーティリティ 4番:ステルス2 レスキュー(22度)
日本シャフト NSプロ プロトタイプ - アイアン 5番~PW:P770 アイアン(2017年)
トゥルーテンパー スチールファイバー fc(重さ90g台) - ウェッジ(52度):ボーケイ SM9 ウェッジ
トゥルーテンパー スチールファイバー fc(重さ90g台) - ウェッジ(58度):ボーケイ SM8 ウェッジ
トゥルーテンパー スチールファイバー fc(重さ90g台) - パター:トラス TB1 トラスヒール パター
稲見萌寧(いなみ もね)のプロフィール
生年月日 1999年7月29日(25歳)
出身地 東京都豊島区
身長: 166cm
体重: 58kg
血液型 A型
出身校: 日本ウェルネススポーツ大学
趣味: 音楽鑑賞
プロ転向: 2018年7月28日(90期生)
所属: 都築電気
高校2年で初のスランプを経験
稲見萌寧さんは小学校から右肩上がりに腕を上げてきましたが、高校2年頃に初めてのスランプに陥ったそうで、飛ばすことにこだわるあまり、スイングが定まらなくなってきたといいます。
当時ドライバーの飛距離は240ヤードあり、決して飛ばない方ではなかったのですが「もっと!」と思ってしまったそうです。
ただ、スランプだったはずの高校2年の12月の「樋口久子 三菱電機レディスゴルフトーナメント」ではトッププロも参加する中で8位タイに入りローアマチュアに輝いています。
本人は、悪いながらも最低限の結果を残している状況、と語っていますが、それはそれですごいことで、後のプロとしての大活躍につながっているのではないかと思います。
ただ、高校3年生だった2017年には目立つ成績を残せていないようです。
スランプでもプロテストは一発合格!
2018年に高校を卒業して大学に進学した稲見萌寧さんは、依然としてスランプから抜け出せず、自信をもてないまま初のプロテストに臨んだといいます。
ところが、開き直って臨んだ4月の第1次予選はトップ通過し、その後徐々に復調傾向となり、6月末の第2次予選でもトップ通過しています。
最終プロテストでは最終日に苦戦したものの最後にバーディパットを決め、ギリギリで合格圏内の20位タイに滑り込んで見事一発合格を果たしています。
逆境によってスランプを脱したように思えますが、精神力もかなりのものがあると思います。
前途多難のプロデビューから奥嶋コーチの指導で初優勝!
稲見萌寧さんは、2018年シーズンオフに行われたQT(クオリファイングトーナメント)にプロとして初めて臨みましたが、サードQTを通過できずにファイナルQTに進めず、103位という結果に終わっています。(当時のQTはファーストからファイナルまで4ステージがありました。)
この時はカットライン上に6人の選手が2アンダーで並びましたが、カウントバック方式(直近ラウンドのスコアがよい方が上位となる)のため最終ラウンドの1打差によって進むことができませんでした。
103位という順位だと、通常はステップアップツアーが主戦場になり、レギュラーツアーの試合への出場は主催者推薦に限られることになります。
その状況を打開するため、2019年のシーズン開幕前から奥嶋誠昭氏のコーチを受けています。
奥嶋氏は計測データを科学的に解析し、感覚でしか伝えられなかった部分をわかりやすく言葉と動きで伝えるというコーチ手法をとっている方で、萌寧さんはこの奥嶋氏のもとでスイング改造に取り組んだといいます。
科学的なアプローチの効果はすぐに現れて、開幕から出場した7試合のうち4試合で予選を通過してトップ10に3回入り、「中京テレビ・ブリヂストンレディスオープン」では3位に入っています。
その結果、7月初めに実施された第1回リランキングで14位に入り、9月実施の第2回リランキングまでのレギュラーツアーへの出場権を獲得しています。
そして、同年7月の「センチュリー21レディスゴルフトーナメント」で見事レギュラーツアー初優勝を果たしますが、2019年は年間獲得賞金ランキングでも13位となり、自身初のシード権を獲得しています。
奥嶋コーチは東京オリンピックでもキャディとして萌寧さんを支えていました。
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飛距離アップを目指してキックボクシングに取り組む!
稲見萌寧さんは2020年の全米女子オープンに出場した際、飛距離の重要さを痛感し、以降は飛距離アップのため肉体改造に取り組んだといいます。
体の一部だけを強化するとバランスが崩れてスイングに支障が出るケースが多いため、ウエートトレーニングだけでなく、キックボクシングもトレーニングに取り入れ、コーチの指導のもと、体のバランスを保ちながら肉体改造に取り組んだそうです。
その効果は、二の腕、太腿、体全体が一回り大きくなっただけでなく体感も鍛えられたといい、2021年で見事開花することになります。
2020-2021年シーズンは9勝して賞金女王!
2020年のシーズンはコロナ禍のため開幕が遅れましたが、稲見萌寧さんは2020年10月の「スタンレーレディスゴルフトーナメント」でツアー2勝目をあげました。
2020年は異例の措置で2021年と統合されましたが、最終的に下記大会で優勝し(9勝)、見事年間賞金女王に輝いています。
- 2020年10月 スタンレーレディスゴルフトーナメント
- 2021年3月 明治安田生命レディス ヨコハマタイヤゴルフトーナメント
- 2021年4月 ヤマハレディースオープン葛城
- 2021年4月 富士フイルム・スタジオアリス女子オープン
- 2021年4月 39th フジサンケイレディスクラシック
- 2021年5月 中京テレビ・ブリヂストンレディスオープン
- 2021年8月 ニトリレディスゴルフトーナメント
- 2021年9月 日本女子プロゴルフ選手権大会コニカミノルタ杯
- 2021年11月 伊藤園レディスゴルフトーナメント
東京オリンピックで銀メダル!
稲見萌寧さんは2021年6月末時点の世界ランキングが27位にアップし、渋野日向子選手を抜いて日本人2番手となり、世界ランク11位の畑岡奈紗選手とともに2021年開催の東京オリンピックに出場しました。
優勝したネリー・コルダ選手と1打差で、リディア・コ選手とともに2位タイとなり、2位決定プレーオフを行った結果、見事勝利して銀メダルを獲得しました。
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